ネット時代だからこそギャンブルと投資の違法性について知っておこう
誰もが気軽にインターネットで投資やギャンブルができるような環境が整って久しい。
一方で、オンラインカジノなどがわかりやすいように、インターネットでひとりで取り組まなければならない投資やギャンブルの場合、自分でも知らないうちに「違法」の領域に足を突っ込んでいるということがありうる。
投資に関していえば、以前であれば、証券会社に直接足を運んで証券口座を作り担当の社員に相談しながら投資の計画を練るというのが主流であったから、「違法」になることはあらかじめ回避されている状態での取引が可能であった。
証券口座とスマホさえあればインターネットでの手続きだけでできるオンラインの取引は、証券会社の相談員などに支払う手数料が軽減されたり、時間と場所とを問わないという点で多くのメリットがある。
だが、一方で「素人」の判断だけで投資をしなければならないというデメリットが発生することも事実ではある。担当の社員への手数料などは「安全への支払い」として機能していたともいえるだろう。
今後は、それぞれが安全のために、自分自身が関わる投資やギャンブルなどのインターネット上の取引の違法性を把握していなければならない時代である。
そこで、今回はインターネットで行うギャンブルや投資が違法になりうるパターンをそれぞれに考えてみたいと思う。
インターネットのギャンブルの違法性は投資よりわかりやすい
インターネット上で遊ぶことができるギャンブルの違法性は、投資の違法性に比べてわかりやすいため、まずはギャンブルの違法性のほうから簡単に見ていくことにしよう。
インターネットで遊ぶことができるギャンブルの違法性については「日本で認められている公式のギャンブル以外はすべて違法」と覚えておけば、すべての違法ギャンブルを把握することができる。
日本で許可されている公式のギャンブルは「競馬、競艇、競輪、オートレース」の公営ギャンブルと、「宝くじ、スポーツ振興くじ」といった公式のくじと、遊戯扱いの「パチンコ」だけであり、それ以外のギャンブルはすべて「違法」である。
インターネットで遊ぶことができるギャンブルに関しては、上記した公式のギャンブルの「馬券や舟券」などをインターネット上で買うことができるサービスだけが合法であり、それ以外はすべて違法だ。
777town.netという、オンライン上でパチンコを打てるサービスもあるが、これに関しては「賭け」が発生しないため、合法のインターネットパチンコである。777town.net以外のオンラインパチンコ(オンラインカジノなどで打つことができる)は違法だ。
インターネットで遊ぶことができるギャンブルといえば、オンラインカジノの存在が大きいが、オンラインカジノは、もちろん例外なく違法であり、金銭を賭けて遊ぶだけで「賭博法」に抵触する。
オンラインカジノを違法性から逃れて遊ぶためには、アカウント登録時にもらえる入金不要ボーナスなどを活用して「完全無料」で遊ぶことが求められるが、その場合、遊べる量は微々たるものになる。
「ネカフェ型の店舗でインターネットを使って金を賭けてカジノゲームで遊ぶ」という違法カジノは「インターネットカジノ(インカジ)」と言われていて、これはインターネット上で遊べる「オンラインカジノ(オンカジ)」とは似ているが、まったく別物である。
インカジは「闇カジノ」とも呼ばれているが、インカジもオンカジもどちらも違法であるということでは同じだ。オンカジは別に「光のカジノ」ではない。
なお、オンカジに比べてインカジのほうが「現場」があるために摘発されやすく、違法性によって逮捕される可能性がオンカジ以上に高いという違いはある。もちろん、オンカジも今後は違法性の摘発が厳しくなるため、その差はやがて小さくなっていくことが予想される。
投資で違法になる6つの不公平取引を覚えよう
投資の違法性を理解するためには「不公平取引」と規定され、取引の場所で禁止されている6つの事項をおさえておく必要がある。
投資における6つの禁止事項は、以下になる。
- 相場操縦行為
- 作為的相場操縦
- 内部者取引(インサイダー取引)
- 風説の流布
- 仮名取引/借名取引
- 空売り規制
これらの禁止事項を犯した場合、金融商品取引法によって違法行為をしたと見なされ、罰金刑から懲役までの刑罰が与えられることがあるため、注意が必要である。
ここに挙げた6つの禁止事項は、インターネットで取引をする個人の投資家が十分犯しうる違法行為が含まれているため、それぞれの禁止事項の内実を見ていくことにしよう。
相場操縦行為ととられる可能性がある禁止された売買行為
まず、相場操縦行為に該当する禁止事項について見ていきたい。相場操縦行為に該当するのは、以下の売買行為になる。
- 仮装売買
- 馴合売買
- 見せ玉
- 終値関与
- 買い上がり/売り崩し
- 下値支え
まず、仮装売買だが、これは「同一人物(ひとりの投資家)が、同じタイミング、同じ価格で、売買の注文をする」という行為であり、この行為は「権利の移転」が目的にあるのではなく「相場の売買状況を第三者に仮想する」という目的で行われるため、禁止されている。
馴合売買は、この仮装売買を「第三者(他の投資家)」とともに複数人で協力して行う違法行為で、組織的な違法行為として禁止されている。
見せ玉は、特定の投資商品がたくさん取引されているという誤解を第三者の投資家に与えるために、約定の意図がない売買、発注、取消、訂正などを特定の投資商品に対して繰り返しおこなう禁止行為である。
終値関与は、取引が終了する直前などに極端な高値や安値の取引を注文することを通して、「相場の終値に関与する」という目的で投資をする禁止行為である。
買い上がりと売り崩しは、特定の投資商品の価格を高くしたり安くしたりすることを目的にして、第三者に価格の高低があると誤解させるような注文を繰り返し、相場を引き上げて取引を誘引しようとする禁止行為である。
下値支えは「株価の下落を防ぐ」という目的で大量注文をするなどの疑いがもたれる取引であり、これも相場を操縦する行為であるため禁止されている。
作為的相場操縦と判断される可能性がある違法の売買について
作為的相場操縦は「相場操縦」という点で先ほどの行為と似ている部分がある。
「相場操縦行為」は「第三者の取引を誘引することを目的とした売買」であったが、この作為的相場操縦に関しては、「取引の誘引」の目的がなかったとしても、作為的に相場を操縦していると判断された場合は禁止であり、違法行為とされる。
方法としては「買い上がりと売り崩し」に似ている「高値/安値形成」という、価格の高低に関わる高値すぎるか安値すぎる反復的な取引の繰り返しが該当行為に当たる。
「高い価格にする/安い価格にするという目的で、当日に高値/安値の取引を繰り返し行うこと」は売買高関与と呼ばれる行為であり、「相場操縦」にまつわる違法行為についてまわる禁止事項となっている。
内部者取引(インサイダー取引)の違法性について
内部者取引は「インサイダー取引」という名称でよく知られている違法行為だが、これは「上場企業」などの関係者(内部者)が未公表の情報を投資家に提供することで、自社の金融商品の売買を操作する行為である。
この内部者取引に関しては、投資家側が自分だけの力で行う違法行為ではなく、投資商品の対象ととなる当事者である内部者による違法行為がないと発動しない禁止事項である。
そのため、インターネットで個人で行う末端投資家などは、人脈形成などをしてこれらの「内部者」と知り合うことがなければ、このインサイダー取引に関わる可能性はまずない。
だが、インサイダー取引は内部者と投資家それぞれにメリットがあり、内部者の違法行為も投資家の協力(情報提供にあわせた売買)がなければ成り立たないため、投資家個人が犯そうと考えれば、密通して参加することが可能な取引でもある。
インサイダー取引の危険なところは、投資家個人が、内部者と関わっているという自覚がない状態で、内部者と関わってしまっており、知らず知らずのうちにインサイダー取引に巻き込まれているという事象があるケースである。
インターネットで投資を行う場合は、どんな末端投資家であっても、インサイダー取引に巻き込まれないように十分な注意を払う必要があるだろう。
風説流布、仮名借名取引、空売り価格規制の違法性について
最後に、残り三つの禁止事項である「風説流布」「仮名/借名取引」「空売り価格規制」のそれぞれの違法性を簡単に見ていくことにしよう。
まず「風説流布」だが、これはある特定の投資商品の価格を変動させる目的で「風説(根拠のない噂)」などを吹聴し、流布させようとする行為である。
風説流布は、インターネットの掲示板などで特定の投資商品に対して「根拠のない書き込み」などをした場合に該当行為と見なされるため、インターネットを利用するすべての人間が犯す可能性がある違法行為となっている。
続いて、仮名/借名取引だが、これは文字通り「仮名(架空の名義)」や、家族や他人などの第三者の名前を借りた「借名」で取引をする行為である。
投資は原則的に「本名」で行うことがルールとして定められているため、本人と一致しない名義での取引はすべて違法行為ととられる可能性があり、注意が必要だ。
空売りによる価格規制は「51単元以上」の信用新規の売り注文を発注する行為である。「単元」というのは「売買単位」を基準にした単位で、売買単位が「10株」であった場合は「5100株」がその数値となる。
個人投資家の空売りは50単元までは規制の対象とならないが、分割注文などをして合計が50単元を超えた場合は規制の対象になる。なんであれ、規制され違法行為になりうる空売りはしないのがベターな選択だといえるだろう。
インターネットのギャンブルと投資の違法性まとめ
- 日本で許可されているギャンブル以外はすべて違法である
- 投資の違法性はギャンブルの違法性よりやや複雑
- 相場に影響する違法行為は個人投資家でも可能である
インターネット上で遊ぶことができるギャンブルや、インターネットで取引ができる投資にまつわる違法性については以上になる。
誰もが気軽に、家にいながらにしてインターネットでギャンブルや投資ができるようになった時代だからこそ、基本的な違法行為についてはあらかじめ知っておかなければならない。
ギャンブルや投資の違法行為を犯した場合、「知らなかった」では済まされないような罰金刑や懲役に繋がる可能性もあり、最悪の場合前科がつくこともある。
違法行為を回避しながら、インターネットのメリットを最大限に享受したギャンブルや取引を行うように心がけよう。